アベノミクスとは何か (5) 異次元緩和の狙うもの【ビジネス塾】

アベノミクスとは何か (5) 異次元緩和の狙うもの【ビジネス塾】

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アベノミクスとは何か (5) 異次元緩和の狙うもの【ビジネス塾】

ITライフハック2013年04月18日09時00分

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ITライフハック

アベノミクスとは何か (5) 異次元緩和の狙うもの【ビジネス塾】

前回は、黒田日銀が打ち出した「異次元緩和」の内容について述べた。平たく言うと、「物価目標2%」を達成するため、国債や上場投資信託(ETF)などの買い入れを増やすことで、2年間でマネタリーベースを2倍にする(現在の140兆円弱を約270兆円に拡大させる)というものである。
緩和策は市場に好感を持って迎えられたが、不安を訴える意見は依然として後を絶たない。今回と次回は、この緩和策をめぐる賛否両論を紹介する。
「異次元緩和」が貨幣数量説に基づく、あるいは影響を受けた政策であることは、すでに述べた通りである。では、マネタリーベースを増やすことが、なぜ経済の活性化につながるのか。これは大事な点だ。
■金融機関の融資を増やす
日本銀行が決めた緩和策は、金融機関から国債などの金融資産を買い入れ、その代金としての紙幣を市中に流し、日本国内の紙幣流通量を増やすことでインフレを起こそうというものだ。
いわば、紙幣は「金融資産の代金」として金融機関に支払われるわけだが、その代金は、金融機関が日銀にもっている当座預金に振り込まれる。日銀が「倍にする」と言うマネタリーベースとは、現金通貨と民間金融機関が持つ日銀当座預金との合計で、これを増やすのことは、日銀当座預金の金額を積みますことで行われる。
各金融機関が日銀に持つ当座預金の金額は、銀行が企業などに融資する際の裏付けになる。つまり、当座預金が増えた金融機関は、企業の設備投資などへの貸出を増やすことが想定されているのである。
市中に出回っているお金の総額を「マネーストック」と言うが、異次元緩和でマネタリーベースを増やすことで金融機関の融資を活性化させ(マネーストックが増加)、経済を活性化させることが狙いなのである。
■株価などにも影響
現在、金融機関の利益に占める、国債の金利収入は非常に高い。日銀が国債買い入れを増やせば、金融機関が資金をより「国債以外」に振り向けることが期待され、この面からも、金融機関の企業への融資増による経済活性化が見込まれる。
融資でなくても、金融機関や機関投資家が潤沢な資金を使って株式などの資産を購入すれば、これらの価格も上がる。株価が上がれば、企業の経営体力が強まり、新規事業への投資や合併・買収(M&A)も行いやすくなる。土地価格が上がれば、企業の担保力が上がり、これまた金融機関からの融資を受けやすくなる。
日銀の国債買い入れで国債価格が上がれば(金利は下落)、国債金利を基準とする社債金利も下落しやすくなり、これまた企業が設備投資などを行う際の負担を減らす。要するに、企業活動を活性化することが期待できる。
さらに、日銀は「狙った」ことを否定しているが、金融緩和を行えば通貨(円)は安くなる。円安は、輸出企業の収益にプラスに働くし、海外に工場や金融資産を持つ大企業は資産価値が上がることになるというわけだ。
■インフレ期待で資金を動かす
最大の狙いは、こうした「異次元緩和」を行うことを表明することで、企業や国民の「将来、インフレになる」という期待を高めることである。
将来インフレになると分かっていれば、消費者は「物価が上がる前に商品を買おう」と思うし、企業は「投資しておこう」と思う。要するに、お金を使う動機付けが強まる。こうなると、経済が活性化する。
以上のようなことで経済が活性化すれば、勤労者の賃金は上がるし、雇用も増える。この通りに行けば、まさに日本経済の復活は疑いない。
ほかにもさまざまあるのだが、「異次元緩和」の狙いの概略は以上のようなことだ。だが「そううまくはいかない」という論調もある。次回はそれを紹介したい。(編集部)
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